NI伊藤憲武
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10分で聴くリーガルアップデート 第3回

フリーランス法と取適法:発注側で何を直すか

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この回の要点

  • フリーランス法は2024年11月1日に施行され、取引条件の明示と60日以内の支払期日が基本です。
  • 6か月以上の継続的な業務委託では、中途解除や不更新に30日前の予告が原則として必要です。
  • 2026年1月に下請法が取適法となり、資本金基準に加えて従業員数基準が入りました。

今日のテーマと要点

伊藤今日は、外部に仕事を出す側の話です。フリーランス法と、2026年1月に下請法から変わった取適法。この二つを並べて見ていきます。

聞き手二つとも、発注する側に義務がかかる法律ですね。

伊藤そうです。しかも、どちらか一方だけを見ていると漏れます。押さえてほしいのは三つです。

伊藤一つ目。フリーランス法は2024年11月1日に施行されていて、取引条件の明示と、支払期日を60日以内に設定することが基本になります。

伊藤二つ目。6か月以上続いている業務委託を中途解除したり更新しなかったりする場合は、原則として30日前の予告が必要です。

伊藤三つ目。2026年1月の取適法では、資本金基準に加えて従業員数基準が入りました。資本金を抑えている会社でも適用対象になり得ます。

フリーランス法の基本

聞き手まずフリーランス法から伺います。対象になるのはどういう取引でしょうか。

伊藤特定受託事業者、つまり従業員を使っていない個人や、代表者以外に役員も従業員もいない法人に、業務委託をする場合です。発注側の属性と、取引の期間によって、かかる義務の範囲が変わります。

聞き手最低限、全部の取引にかかるものはありますか。

伊藤取引条件の明示です。業務の内容、報酬の額、支払期日などを、書面または電磁的方法で明示する。これは発注側が従業員を使っていなくてもかかります。

伊藤そのうえで、発注側が従業員を使っている場合には、報酬の支払期日の規律が入ります。原則として、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定めて、その期日までに支払う。

聞き手検収が終わってから60日、ではないのですね。

伊藤ここは間違えやすいので気をつけてください。起算点は、成果物を受け取った日です。社内の検収や請求書の処理に時間がかかるから、という理由で遅らせる設計にはできません。

契約を終わらせるときの30日

聞き手二つ目の、30日前の予告について。

伊藤6か月以上継続する業務委託について、中途解除する場合や、期間満了後に更新しない場合は、原則として30日前までに予告が必要です。例外もありますが、まず原則を押さえてください。

伊藤それから、予告の日から契約が終了するまでの間に、フリーランス側から理由の開示を求められたときは、原則として理由を開示する必要があります。

聞き手来月で終わります、という一本のメールでは足りないということですね。

伊藤足りないことがあります。ここで一つ注意してほしいのは、この30日の予告義務と、その解除が契約として有効かどうかは、別の問題だということです。

聞き手法律違反イコール解除無効、ではない。

伊藤違います。予告をしなかったことが法律上の問題になるかどうかと、契約を終わらせる行為の民事上の効力は、別々に考えます。実務では、この二つを混同した議論をよく見かけます。

取適法で何が変わったか

聞き手三つ目の取適法です。下請法から名前が変わっただけではない、と。

伊藤中身も変わっています。実務で効くのは四つです。一つ目は適用範囲で、資本金基準に加えて従業員数基準が入りました。資本金1000万円以下でも、従業員数で適用対象になることがあります。

伊藤二つ目、手形払いが禁止されました。三つ目、代金から振込手数料を一方的に差し引く運用も問題になります。四つ目、協議に応じない代金決定の禁止。これは、発注側が一方的に金額を決めて押し付ける形を禁じるものです。

聞き手契約書だけでなく、経理の運用も関わりますね。

伊藤そこが今回の改正のポイントです。契約書の文言を直すだけでは足りません。支払サイト、手形の有無、振込手数料の負担、単価の決め方。この四つについて、現場の運用まで確認してください。

聞き手フリーランス法と取適法、両方かかることはありますか。

伊藤あります。両者は排他的な関係ではありません。取引の類型と当事者の規模で、どちらが、あるいは両方がかかるかが決まります。発注先が個人の場合は、まず取適法の適用があるかを見て、次にフリーランス法を見る、という順で確認すると整理しやすいです。

まとめ

伊藤まとめます。一つ目、取引条件の明示と60日以内の支払期日。起算点は成果物を受け取った日です。

伊藤二つ目、6か月以上の継続的な委託を終わらせるときは、原則として30日前の予告。そして、予告義務の違反と、解除の民事上の効力は別の問題です。

伊藤三つ目、取適法の従業員数基準、手形払いの禁止、振込手数料、協議に応じない代金決定。契約書と経理の運用の両方を見てください。

聞き手資料はどこにありますか。

伊藤フリーランス法のガイドラインは公正取引委員会と厚生労働省の連名で出ています。取適法は、公正取引委員会と中小企業庁のテキストが分かりやすいです。どちらもこのページの参考資料にリンクがあります。

Sources

参考にした一次資料

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