NI伊藤憲武
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Startup Legal

スタートアップ法務

創業から数年の会社にとって、法務は「合っているか」より「いつ答えが出るか」で価値が変わります。リリース判断の前日に届く完璧な意見書は、いかに内容が正確かつ充実していても、満足にサービスに組み込むことはできません。

私は新卒で楽天株式会社の法務部に入り、4年間、事業部の隣で新規サービスを世に出す側にいました。事業のローンチ前には、競合を分析し、ビジネススキームを設計し、個人情報の取扱いを詰め、時には官庁とも折衝した上で、最終的には規約に落とし込む。ローンチ後は、キャンペーンの景品設計を確認し、加盟店契約を調整し、ユーザーからのクレーム対応を行う等、全面的に事業をサポートしてきました。楽天卒業後は、法律事務所に移り、現在はコーポレート・M&Aから紛争解決までを扱っています。事業側の時間感覚と、外部弁護士としての精度の両方を持ち込むのが、私の立ち位置です。

Stage

フェーズごとに、必要なものは違う

必要な法務は、フェーズごとに入れ替わります。網羅的に整備するのではなく、いま何を固めるべきかから逆算してご提案します。

  1. 創業期

    後戻りできないところを、先に決める

    会社の骨格と、創業メンバー間の約束事を固める段階です。

    • 創業株主間契約・資本政策の初期設計
    • 知的財産の帰属の整理
    • 業務委託と雇用の切り分け
  2. サービス立上げ

    リーガル・エンジニアリング

    ビジネスモデルの適法性を早期に判定し、設計変更が安いうちにお返しします。

    • ビジネスモデルの適法性・許認可の判定
    • 利用規約・プライバシーポリシー
    • 広告表示・キャンペーンの設計
  3. 資金調達・拡大期

    ビジネスの成長を法的にサポートする

    調達、採用、提携、海外展開。成長の局面ごとに現れる課題を、事業計画に合わせて片付けていきます。

    • 資金調達・資本政策の実行支援
    • 組織・人事・内部体制の整備
    • 事業提携・海外展開の交渉と契約
  4. 有事

    最初の順番の設計が、その後を決める

    事実の確定、開示範囲、対外説明、当局対応の順序を一緒に組み立てます。

    • 情報漏えい・不適切表示の初動
    • 当局対応・行政調査
    • 訴訟・紛争解決

Topics

よくご相談いただく論点

スタートアップからお受けするご相談は、分野としては次のあたりに集まります。 いずれも、条文だけでは結論が出ず、各省庁のガイドラインや運用基準まで見に行く必要がある領域です。

新規事業の適法性と許認可の評価

そのビジネスモデルに業法が及ぶのか、許認可や登録が必要になるのかは、サービスの設計そのものを左右します。同じ事業でも、誰と誰の間にどの契約を置くか、お金がどこを通るかによって、適用される法律が入れ替わります。設計変更の費用が小さい段階で、適法に進められる形を一緒に探します。

実例:別荘シェアリングの5スキームを法的性質で整理する

利用規約・プライバシーポリシーの整備

利用規約を定型約款として契約内容に組み入れるには、民法上の要件を満たす必要があります。申込画面での表示、変更手続、免責条項の書き方は、後から差し替えるより最初に整えるほうが費用がかかりません。プライバシーポリシーは、実際のデータの流れと一致していることが出発点です。

関連:消費者取引・約款のガイドライン

個人情報の取扱いと委託・越境移転

取得・利用・第三者提供・委託のいずれに当たるかで、必要な手続が変わります。海外のSaaSを使う場合は、個人情報保護法28条の越境移転規制を別途確認することになります。漏えいが起きたときの報告・通知の要否と期限は、平時に判断の担当者を決めておくかどうかで対応の速さが変わります。

関連:個人情報・データ保護のガイドライン

業務委託と労働者性・フリーランス法

契約書の表題が業務委託であっても、労働者性は実態で判断されます。依頼を断る自由、指揮命令の有無、勤務場所と時間の拘束、報酬の性質などを総合して見ることになります。あわせて、フリーランス法の取引条件明示と支払期日の規律が及ぶかも確認します。

関連:労務・人事のガイドライン

創業株主間契約と資本政策の初期設計

創業メンバーが離脱したときに株式をどう扱うかを決めていないと、その後の調達で必ず問題になります。ベスティング、譲渡制限、競業避止の設計は、関係が良好なうちにしか合意できません。後戻りできない論点から順に片付けるのが、この段階の要点です。

解説:創業株主間契約は何を決めるべきか

投資契約・J-KISS・種類株式

投資契約と株主間契約には、事前承諾事項、取締役指名権、優先分配、みなし清算条項などが並びます。どれも次のラウンドと出口の選択肢を縛るため、一件ずつ事業計画に照らして判断する必要があります。条件の是非だけでなく、交渉の余地がどこにあるかまでお伝えします。

解説:スタートアップの資金調達契約をどう読むか

広告表示・キャンペーンの設計

景品表示法の優良誤認・有利誤認は、表示を出す前に根拠資料を持っているかで結論が変わります。ステルスマーケティング告示により、事業者が表示内容の決定に関与していれば規制の対象になり得るため、インフルエンサーやアフィリエイターへの依頼、従業員による投稿にも運用ルールが要ります。

解説:景品表示法の最近の動向と問題になりやすい広告

AIを組み込んだサービスの検討

AI事業者ガイドラインは、AIに関わる主体を開発者・提供者・利用者に分けています。他社のモデルをAPIで組み込んで提供する場合も、通常は提供者としての検討が必要です。学習データに個人情報や他人の著作物が含まれる場合の整理、生成物の権利と責任の分担も論点になります。

解説:生成AIサービスの法務チェックリスト

知的財産の帰属と共同開発

外注先が作成した成果物の著作権は、契約で譲渡を定めない限り、原則として創作者側に残ります。納品を受けて対価を払っただけでは移りません。著作者人格権の不行使特約、共同開発時の持分の扱い、サービス名の商標調査は、いずれも着手前に決めておくべき事項です。

解説:共同開発の知的財産権は誰のものか

会社と個人の間で争いになったとき

会社側からのご相談だけではありません。役員・幹部の方、創業者や個人株主の方、独立して仕事を受けている方からも、退職時のストックオプション、共同創業者との株式の買取、取締役の解任と報酬、成果報酬の未払いといったご相談をお受けしています。会社側のご依頼とは別系統の窓口としてご案内しています。

個人の側のご相談:経営者・役員・株主の紛争解決

発注側になったときの取適法

2026年1月に下請法が取適法(中小受託取引適正化法)となり、資本金基準に加えて従業員数基準が入りました。資本金を抑えている会社でも、人員の増加によって委託事業者として規律を受ける場合があります。手形払いの禁止、振込手数料の負担、協議に応じない代金決定の禁止は、契約書と経理の運用の双方に関わります。

関連:取適法・取引適正化のガイドライン

各分野の官庁ガイドラインは、業種×業務内容で絞り込める索引(収録343件)にまとめています。

Method

リーガル・エンジニアリングという進め方

新規事業のご相談で、最も費用対効果が高いのは、法律に当てはめて可否を答える段階ではなく、 当てはめる対象そのものを設計し直す段階です。同じ事業目的でも、契約の当事者の置き方、 お金の流れ方、権利の持たせ方を変えれば、適用される業法と必要な許認可は入れ替わります。

ですから私は、「このスキームは適法か」というご質問に対して、可否だけをお返しすることはしません。 どの要素がどの規制を呼び込んでいるのかを分解し、実現したいことを保ったまま規制の軽い形に組み替えられないか、 組み替えられないとすれば何を取得し何を諦めるべきかまで含めてお示しします。

実際の進め方は、記事の形で公開しています。別荘のシェアリングエコノミーを題材に、 5つのスキームを法的性質で整理し、旅館業法・旅行業法・出資法・金融商品取引法・資金決済法の適用関係を 横断的に検討したものです。

別荘におけるシェアリングエコノミーの実務を読む →

Competency

どのように仕事を進めるか

私が社会人として最初に受けた訓練は、法律事務所ではなく楽天でした。新卒で入った法務部で身についたのは条文の知識よりも、仕事の進め方そのものだったと思っています。

楽天グループが全従業員の行動指針として掲げる「楽天主義」のうち、いま自分の仕事の芯になっているのは次の3つです。法務の仕事に置き換えると、私が依頼者に約束できることの形になります。

常に改善、常に前進

GET THINGS DONE ── 立ち止まらず、最後まで一緒に解く

新しい事業を世に出すとき、想定外の障害は必ず現れます。前例のない規制の当てはめ、当局の見解が固まっていない領域、直前で変わる仕様。そこで「できません」と引き返すのではなく、目的を達成できる別の道を探し続けます。法律の専門家として、事業を前に進める答えが見つかるまで、依頼者と同じ側に立って課題を解ききることが私の仕事です。

顧客満足の最大化

当事者意識 ── お客様の事業を、自分事として引き受ける

外部の弁護士は、意見を述べて終わりにできる立場です。しかし私は、依頼者の事業がうまくいくかどうかを自分の問題として捉えたい。事業のモデル、収益の源泉、社内の力学、なぜその判断を急ぐのかまで理解したうえで、自分がその会社の一員だったらどうするかを考えて意見を差し上げます。専門用語の壁を依頼者側に負わせず、事業の言葉でお話しします。

スピード!! スピード!! スピード!!

ビジネスのスピードを止めないことが、真のリーガルサービス

法的に精緻な検討には時間がかかります。しかし、検討が終わるまで事業を止めてよいことにはなりません。何がボトルネックになっているのか、的確かつ迅速に見極め、事業が動き続けられる状態を保つ。それが真に価値ある法務のあり方だと考えています。

「楽天主義」「成功のコンセプト」は楽天グループ株式会社が定め公表している同社の企業理念であり、その内容および名称に関する権利は同社に帰属します。本ページの記述は、同社の理念を私が個人の経験に基づいて解釈・要約したものです。

How

進め方と費用

スポット相談

論点をひとつ持ち込んでいただく形。まず結論の方向と、確度、確定までに要する時間をお伝えします。社内やステークホルダーへの説明に必要であれば、意見書のドラフトまで承ります。時間制が基本です。

案件単位

契約書のドラフト・レビュー、規約整備、調達対応など。着手前に作業範囲と見積りを書面でお示しし、合意してから着手します。

継続的な関与

月内の相談量に応じた顧問形式。ご要望があれば、社内で判断できる範囲を切り出す運用まで一緒に作ります。

報酬は事案の内容・難易度・見込まれる作業量に応じて個別にお見積りします。ご依頼前に必ず金額と範囲を書面でご確認いただきます。

FAQ

よくあるご質問

顧問契約を結ばなくても相談できますか。

できます。論点をひとつ持ち込んでいただくスポット相談から対応しています。継続的な関与が必要かどうかは、いくつかご相談いただいたうえでご判断いただければと考えています。

費用はどのくらいかかりますか。

事案の内容・難易度・見込まれる作業量に応じて個別にお見積りします。スポット相談は時間制が基本で、案件単位のご依頼では、着手前に作業範囲と金額を書面でお示しし、ご了解をいただいてから着手します。ご依頼前に金額が分からないまま進むことはありません。

初回の相談では何を用意すればよいですか。

事案の概要、いつまでに判断が必要かという時間軸、関係者(相手方・出資者・関係会社)の3点をお知らせください。この3つが分かると、受任できるかどうかと、お答えできるまでの時間の見込みを早くお伝えできます。利益相反の確認が済むまでは、具体的な資料の送付はお控えください。

どこまで対応してもらえますか。対応できない分野はありますか。

取扱分野の外側だと判断したご相談は、無理にお受けせず、より適切な弁護士をご紹介します。また、既存の依頼者との利益相反、手持ち事件の状況によっては、お受けできない場合があります。その場合も、できるだけ早い段階でその旨をお伝えします。

対応地域を教えてください。遠方でも依頼できますか。

東京都内を拠点に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。打合せはオンライン会議で行うことが多く、地理的な制約はほとんどありません。

英語での対応は可能ですか。

可能です。英文契約のドラフト・レビュー、海外の投資家や取引先との交渉の支援も承ります。日本市場への参入を検討する海外のスタートアップ向けに、英語のページもご用意しています。

このサイトは所属事務所のサイトとは違うのですか。

はい。本サイトは、私が個人としてお受けする事件についてのご案内です。所属する弁護士法人吉川綜合法律事務所としてのご依頼は、事務所のウェブサイトからお願いします。いずれの場合も、受任に際しては所定の利益相反の確認を行います。