NI伊藤憲武
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官庁ガイドライン索引 / 労務・人事

労務・人事の官庁ガイドライン一覧

就業規則を改訂する際、労働時間や賃金の制度を設計する際に参照する文書群です。この分野は改正の頻度が高く、告示や通達により運用が変わることが多いため、条文のみを見ていると実務の水準を取り違えます。

この分野で 86件 を収録しています。主な発出機関:OECD、こども家庭庁、中央建設業審議会、人事院、個人情報保護委員会。各文書の最新版・改訂状況は、必ずリンク先の一次ソースでご確認ください。

Overview

この分野で実務上問題になること

労務は、条文よりも指針・通達・告示で運用が決まっている度合いが特に高い分野です。労働基準法を読んでも「どこまでやれば足りるのか」は書いていません。以下は、就業規則や雇用契約書に手を入れるときに、順番に確認することになる論点です。

1. 労働条件の明示

2024年4月から、労働条件通知書に記載すべき事項が追加されています。就業場所と業務の変更の範囲、有期契約であれば更新上限の有無と内容、無期転換申込権が発生する契約更新時にはその申込機会と転換後の労働条件です。雛形を数年前のまま使っている会社は、この時点で不足が生じています。

「変更の範囲」は、将来の配置転換の可能性をどこまで明示するかという問題でもあります。限定的な記載は、個別の合意内容等とあわせて勤務地・職務の限定の有無を判断する際の事情となり、配転の可否に影響する場合があります。他方、実態より広く書けば採用時の説明との齟齬が生じます。将来想定される配置転換の範囲を、採用方針や個別の合意内容と整合させて記載することが重要です。

2. 労働時間の把握

労働時間の適正な把握と、労働安全衛生法上の「労働時間の状況」の把握は、区別して考える必要があります。後者は管理監督者や裁量労働制の適用者も対象となり、高度プロフェッショナル制度の対象者については別途、健康管理時間を把握する仕組みがあります。把握は、タイムカードやパソコンの使用記録など客観的な記録を基礎とするのが原則で、自己申告制を採る場合には実態との乖離を確認・是正する措置が求められます。

実務で問題となるのは、残業の事前申請制を採用している会社です。申請がないから労働時間ではない、という整理は通りません。申請外の在社時間をどう扱うかを決めておかないと、後から未払賃金として一括で顕在化します。

3. 固定残業代

固定残業代(みなし残業代)が割増賃金の支払として有効に扱われるためには、通常の賃金部分と固定残業代部分を判別できること、そして固定残業代部分が時間外労働等の対価として支払われていることが重要です。求人票や契約書に「月給30万円(固定残業代含む)」とだけ記載し、固定残業代の金額等が判別できない運用は適切ではありません。

求人・募集時の明示では、固定残業代を除いた基本給、固定残業代の金額と対応する時間数、超過分を追加で支払う旨などを明示する必要があります。契約書や賃金規程でも固定残業代の金額や計算方法を明確にし、実際の割増賃金額が固定額を超えた場合は差額を支払う運用が必要です。固定残業代として認められない場合には、その金額が割増賃金算定の基礎に含まれる可能性があります。

4. 業務委託と労働者性

スタートアップでも相談の多い論点の一つです。契約書の表題が業務委託であっても、労働者性は実態で判断されます。仕事の依頼を断る自由があるか、業務の遂行方法に具体的な指揮命令があるか、勤務場所と時間が拘束されているか、報酬の性質はどうかなど、複数の事情を総合して判断されます。

あわせて、フリーランスとの取引については2024年11月から新しい法律(いわゆるフリーランス法)が施行されており、取引条件の書面等による明示、支払期日、募集情報の的確表示などの義務が課されています。労働者性の問題をクリアしても、この規律は別途かかります。

5. 就業規則の作成と不利益変更

常時10人以上の労働者を使用する事業場には作成と届出の義務があります。10人未満でも、労働条件を統一的に定めておく実益は大きく、後から作るほど不利益変更の問題が生じやすくなります。

既存の規則を労働者に不利に変更する場合、合意なく一方的に労働条件を変更することは原則としてできません。ただし、変更後の就業規則を労働者に周知し、変更が合理的なものであれば、労働契約法10条により変更後の労働条件が適用されることがあります。合理性は、不利益の程度、変更の必要性、変更後の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況などを総合して判断します。これとは別に、労働基準法上の意見聴取や届出等の手続も必要です。

この分野を掘り下げた記事:業務委託が労働者性を問われるとき

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