NI伊藤憲武
日本語/EN

官庁ガイドライン索引 / 知的財産

知的財産の官庁ガイドライン一覧

権利の帰属は、事後の修正に最も費用を要する論点です。共同開発や外注に着手する前に、この分野の考え方を確認しておく必要があります。

この分野で 19件 を収録しています。主な発出機関:経済産業省 貿易経済協力局、経済産業省、内閣府、文化庁著作権課、文化庁。各文書の最新版・改訂状況は、必ずリンク先の一次ソースでご確認ください。

Overview

この分野で実務上問題になること

権利の帰属は、事後の修正に最も費用を要する論点です。資金調達やM&Aのデューデリジェンスで指摘され、遡って契約を締結し直す必要が生じます。

1. 誰のものになるか(職務著作と外注)

従業員が職務上作成した著作物は、著作権法15条の要件を満たせば法人等が著作者となる場合があります。他方、外部の業務委託先が作成した成果物は、契約で著作権の譲渡等を定めない限り、原則として実際の創作者側に権利が帰属します。納品を受け、対価を支払っただけで著作権まで当然に移転するわけではありません。

また、著作権を譲渡する契約であっても、翻案等の権利(27条)と二次的著作物の利用に関する権利(28条)は、譲渡の目的として特掲されていないと譲渡人に留保されたものと推定されます。「著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)を譲渡する」と書くのが実務の定型なのはこのためです。この一文を欠く契約は少なくありません。

あわせて、著作者人格権は譲渡できないため、成果物の改変や翻案、氏名表示の省略等を予定する場合には、必要な範囲で不行使特約を設けることが一般的です。利用態様に応じて、不行使の対象と範囲を具体化しておくことが重要です。

2. 商標

サービス名を決めたら、使い始める前に先行商標を調査します。商標登録は先願主義が原則であり、先に使用していたからといって当然に後願の登録商標に対抗できるわけではありません。先使用権が認められる場合もありますが要件があります。文字商標・ロゴと、実際に提供する商品・役務の区分を踏まえて確認します。

リリース後に他社の権利と衝突すると、名称変更のコストはドメイン、アプリストア、印刷物、既存ユーザーへの周知にまで及びます。サービス名の確定前に先行調査を行い、必要に応じて出願時期と対象区分を検討しておくことが重要です。

3. 営業秘密

不正競争防止法上の営業秘密として保護されるには、秘密管理性・有用性・非公知性の3つが必要です。実務で欠けやすいのは秘密管理性です。アクセス制限、マル秘表示、就業規則や誓約書での義務づけといった措置を通じて、従業員から見て秘密として管理されていると認識できる状態が求められます。

「重要な情報だから当然に営業秘密として守られる」ということではありません。秘密として管理されていない情報は、不正競争防止法上の「営業秘密」の要件を満たさない可能性があります。もっとも、契約上の秘密保持義務や不法行為など、別の法的保護が問題となる余地はあります。

4. 共同開発と外部の素材

共同開発では、成果物の権利を共有にするか一方に帰属させるかを先に決めます。共有にした場合の制約は権利の種類によって異なりますが、持分の譲渡や第三者へのライセンス等に他の共有者の同意が必要となる場面があり、後の事業展開を制約することがあります。誰がどのように利用・改変・再許諾したいのかから逆算して設計することが重要です。

OSSや素材集を組み込む場合は、ライセンス条件の確認が要ります。とくに、改変物や結合物のソース公開を求める条件のものは、自社プロダクトの配布形態によって影響が大きく変わります。

この分野を掘り下げた記事:共同開発の知的財産権は誰のものか

Documents

この分野の収録文書


他の分野を見る

この分野のご相談

ガイドラインの当てはめは、事業のモデルによって結論が変わります。自社に適用されるのはどれか、どこまでの対応が必要かについてのご相談は、お問い合わせフォームからご連絡ください。